本気で「臨床を変えるトランスレーション」を目指す人が心掛けるべき基礎研究のポイント 藤岡正人先生

2021/4/1 第一回研究会 
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科 /株式会社オトリンク 共同創業者
藤岡正人先生

私が卒後2年目に大学院に入学するとき、「医学部出て、医者になって、何で研究なんかするの?」と、先輩耳鼻科医からよく聞かれ(≈揶揄され)ました。「難聴にはいい治療法がないから少しでもよくしたい」と(当時若かった)私はムキになって答えたように記憶しています。
幸か不幸か、最近、この質問を受けることがなくなりました。寂しいかぎりです。


当レクチャーでは、気合い主義でもなければ洗脳系カルトトークでもなく、translational researchを本気で進めるための「技術(判断様式)」をひたすら列挙する講義(漫談)をしようと思います。治療法開発のほとんど全てのフェーズにおいて、状況判断と意思決定の連続します。ほれぼれする判断をどこかでする人は、得てして日常生活のいつでもそういう人ですよね。そんな人間を私は目指しています!…的な感じの妄想で満ちた30分を予定しています。


医師がtranslational researchをするメリット、デメリット(あまりないけど)にも触れます。他職種の研究者の方は、「医師と研究する」「医師をチームに入れる」メリット、デメリット(これは沢山あるけど)と読み替えていただければと思います。key wordは“マイクロマーケティング“です。


医師の仕事は①診断すること②治療すること③予後を伝えること、そして④よくないニュースの受容を促すこと、と、昔、ある先生に言われました。“治らないという現実“を伝えるのは医師にも患者にもつらいことです。私の中では、「感音難聴は治らない」というムンテラの小さな葛藤が、つもりつもって山のようになっていて、それが研究の原動力になっています。

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